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パピプペポロン誕生秘話
2005年のある夜、その昔日本テレビで幼児教育ギャグ番組「カリキュラマシーン」のディレクターだったオレ(宮島将郎)はネット検索をしていた。キーワードはもちろん「カリキュラマシーン」。やがて辿り着いたのが2ちゃんねる掲示板「カリキュラマシーン」。オレの目はパソコンの画面に釘付けになった。なんとそこには大勢のファンが集まり、番組の思い出を情熱的に語り合っているではないか。
掲示板を読み進むうちに、自分が演出したシーンについて「あれはだれが考えたんだろう」という書き込みを見たとたん、オレはとうとう「わたしはディレクターだった宮島です。どなたかメールをください」と名乗り出てしまった。反応は即座に現れた。偽者か? 無理もない、30年も前の番組のディレクターが2ちゃんねるに登場したんだから。何本かのメールのやりとりで疑いが晴れたオレが質問攻めにあったのは言うまでもない。次から次へと答えるうちにオレはふと「わたしといっしょに番組を作りませんか?」と聞いてみた。するとどうしたことだ、何人かが手を上げるじゃないか。うれしかったね、これは。すぐさま、やることを決めた。
パピプペポロンの撮影風景その1(モニターにトイレのマーク) さあ、それからは大騒ぎ。何をするにも「オレ金ないけどさあ、面白いと思ったらやってくれない?」で始めるオレだが、金を使わ(え)ずにテレビ番組を作れるかが大問題。そこで考えたのが手弁当プロダクション。オレが払うのは昼メシと打ち上げ。はたしてこれで人が集まるだろうか。でも、やるっきゃない。
すぐさま電話大会が始まった。まずは、番組の質を約束するプロのスタッフ集め。日本テレビでいっしょに仕事をした映像・赤司彰三さん(「ゲバゲバ90分」)、音声・鈴木孝十郎さん(「團伊玖麿ポップスコンサート」「箱根駅伝」)、美術・高野豊さん(「ゲバゲバ90分」「カリキュラマシーン」)に電話すると三人とも大賛成。カメラと編集は2ちゃんねるで知り合ったJ.K.さん(匿名でもすぐバレるけどね)。音楽は越部信義さん(「おもちゃのチャチャチャ」「ホ!ホ!ホ!」「マッハGo!Go!Go!」「パーマン(白黒版)」)、春畑セロリさん(作曲・編曲の達人)。音楽効果は山縣良一さん(関係ないが、絶対音感!)。現場の美術は数年前に知り合ったいなだゆかりさん。制作進行は長い付き合いの大月友則さん夫妻。こんな具合で順調に集まった。
次に集めた台本の作家は、これまた番組に欠かせない。オレは台本の無い番組を作らない。台本は番組の命だ。嬉しいことにネットで3人のファンが名乗り出てくれた。ギャグ台本を書いた経験は無くても、「カリキュラマシーン」を見てた彼らならギャグを知っているだろう。もちろんオレも書く。 パピプペポロンの撮影風景その2(大きな桃)
パピプペポロンの撮影風景その3(ハリセンを受ける道徳おじさん) その次は出演者。オレは有名な役者を呼ぶつもりはまるでない。素人の体当たりの演技を楽しみたい。どんな芝居が飛び出すか楽しみだ。番組を見る人に顔が売れてないから新鮮なことは間違いない。オレは団地の呑み仲間から始めて、出てくれそうな人に手当たり次第で声をかけた。写真を見ればわかるだろう。素人だとはいえ、みんなユニークな顔をしている。
中でも最高にいけてるのが、和製ミスター・ビーンこと眞木隆司さんで、団地のエレベーターでの顔見知りだ。ずっと前から、オレが番組を作るなら絶対に出演してもらおうと思っていた人物だ。話をしたら即オーケー。やってみるもんだね、世の中は。(ところで、眞木さんは道徳オジサンを演じ、道徳を口にしたとたん、パイやハリセンに襲われる。これは「そんなきれいごとを言っても、世の中は渡れないぞ、みんな気をつけろ」という番組のメッセージなのだ)

ああ、ほんとうはもっとたくさんの仲間を紹介したい。1年の間にオレに共感し、口車に乗せられ、引きずり込まれた人間は数えきれないからだ。だが、文句を言ってやめたのは一人もいない。それだけ楽しかったのだとオレは勝手に思っている。お許しあれ。

最後は、どんな番組を作るかだ。「カリキュラマシーン」ライクなギャグ番組ということは決まってるが、テーマが決まっていない。オレはみんなと相談した。いろいろなアイディアが出たあげく、「道徳」をテーマにしようということになった。理由はこうだ。人生には<しなければならないこと>と<してはいけないこと>があり、これが「道徳」だ。 パピプペポロンの撮影風景その4(パイを受けて顔中クリームの女の子)
だが、「道徳」をそのまま台本に書けば、教科書は作れても、まるで面白くならない。ではどうするか。道徳を逆手に取るのだ。<すればいいでしょう>と<しなければいいでしょう>と開き直る。そして、大げさにしたり、しなかったりすればいい。そこにギャグが生まれる。
パピプペポロンの撮影風景その5(宮島ディレクターも裸でハゲづらかぶって湯たんぽ持って・・) これでテーマも決まり、あとは作るだけになった。そして、いろいろな障壁を乗り越えて、2006年の3月、ついに収録が始まった。どんな番組ができたかは観てもらうしかない。このWEBを見た諸兄諸姉は地元ケーブルテレビ局で放送されるのを楽しみに待ってほしい。すこし悪いことが好きな子どもにも、きちんと作られた番組を観たい大人にも喜ばれる、年齢を超えたエンターテイメントに仕上がっていることは約束する。でも、笑ってくれるだけでオレは最高だ。サンキュー!
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